「ところ変われば品変わる」と言いますが、沖縄はいろいろな文化や習慣が県外とは異なります。
「郷に入っては郷に従え」の言葉通り、違いを認めて、その地域の文化や習慣を尊重したいですね。
今日は「沖縄の十五夜と言えば、ふちゃぎを食べる」話です。
十五夜とは?
十五夜とは、美しい「中秋の名月」を愛でながら、収穫などに感謝する日です。
平安時代に中国から伝わり、貴族が風雅に観月をしていました。のちに庶民に広がって、秋の収穫に感謝する行事となりました。「芋名月」と呼ばれる所以にもなっています。
「中秋の名月」とは旧暦の8月15日の夜に見える月のことです。そのため、毎年日付が異なります。
2022年:9月10日(土)
2023年:9月29日(金)
2024年:9月17日(火)
2025年:10月6日(月)
2026年:9月25日(金)
2027年:9月15日(水)
さらにややこしいのが、中秋の名月は必ずしも満月ではありません。
これは、中秋の名月は旧暦で決まりますが、満月は太陽、地球、月の位置関係で決まり、月の公転軌道が楕円形だからです。
2022年の十五夜は満月でした。
台風の接近が心配されましたが、なんとか月が見えそうです。
沖縄の十五夜は「ふちゃぎ」を食べます
県外では十五夜に写真のように、月見団子とススキや秋の花をお供えします。
ですが、沖縄では「ふちゃぎ」をお供えします。
十五夜の日には、スーパーに「ふちゃぎ」コーナーが設けられ、人だかりがします。
今日は旧暦の8月15日で十五夜🎑
上間てんぷらがふちゃぎ祭りになってたい!!
皆さん10パックとか買ってて凄い!!#十五夜 #ふちゃぎ pic.twitter.com/N01frXLPJ6— NEKØZIMA@沖縄 (@NekZima) September 10, 2022
「ふちゃぎ」は、ナマコのような形のお餅に小豆をまぶしたもので、見た目も衝撃的ですが、食べるともっとびっくりします。甘くないんです。
以前、近所のおばあちゃんから頂いて、私が初めて「ふちゃぎ」を食べた時の衝撃と言ったら。甘くない小豆がこの世の中に存在するかと、とても混乱しました。
昔から、丸い小豆には魔除けの力があると信じられていたので、潰さずに丸い形のままお餅にまぶすのです。
砂糖を入れて煮ると潰れやすいから、甘くしなかったのでしょうか。
最近は砂糖が加えられて甘くなっているものも販売されています。パッケージに「砂糖あり」とか「砂糖なし」ってシールが貼ってあったりします。
甘くないのでママ世代ではスルーしちゃう人もいる一方で、「ふちゃぎは甘くないのが正解だ!」と力説するオジサンもいます。
沖縄で十五夜は拝みの行事だった
沖縄では十五夜に「ススキ」をお供えすると聞かないなぁと思ったので、調べてみました。
県外で十五夜に「ススキ」をお供えするのは、月の神様の依り代と考えられているからでした。本来は実りを象徴する稲穂をお供えしたいのですが、稲刈り前なので、稲穂に似たススキを用いるようになったと言われています。
沖縄にも「ススキ」はあります。沖縄は二期作も出来るので、稲刈りが済んでいるところもあるので、稲穂も入手できるかもしれません。ですが、ススキも稲穂もお供えするとは聞きません。
これは沖縄では十五夜は拝みが中心の行事だったからと考えられます。
沖縄ではたくさんの御願行事(うがんぎょうじ)があり、十五夜もそのひとつで、ヒヌカン(火の神)と仏壇に「ふちゃぎ」をお供えして、家族の健康を祈ります。
沖縄のコンビニでは「お月見団子」も売っています。「お月見団子」と「ふちゃぎ」の両方あるのが沖縄らしいなと思いました。
今夜は名月を愛でることにしましょう。
追記:私が見た十五夜です。
うすい雲がかかっていたのか、ちょっとぼんやりした十五夜でした。