沖縄にはさまざまなおまじないや魔除けがあります。中でも有名なのが、石敢當とシーサーです。
テレビでも何度も取り上げられたので、知っている方も多いと思っていたら、まだまだ「これ、なんですか?」って聞かれることも多いので、他の魔除けとまとめてご紹介します。
石敢當(いしがんとう)
丁字路や三叉路の建物の入口やホテルなどの建物の前などに設置されてます。
表札や定礎に間違われることもありますが、そのどちらでもなく、「魔除け」です。
あたりを徘徊しているマジムン(魔物ですが、災いの象徴です)は直進する性質を持っているので、丁字路や三叉路などの突き当りにぶつかると建物に入って来てしまうと信じられているので、石敢當を設置することで、魔物の侵入を防ぎます。魔物は石敢當に当たると砕け散るとされています。
ちなみに、T字路って言いますが、本来は丁字路だそうです。
中国から沖縄に伝わったものですが、「武将の名前」とか「力士の名前」とかは説であって、断定は出来ないそうです。
ちなみに石敢當は低い位置にあることが多いですが、素材に決まりはないようで、石だけでなく、木製だったり、サンゴだったり、プラスティック製もあります。
シーサー
もうひとつ、沖縄で有名な魔除けはシーサーですね。
石敢當はマジムンの侵入を防ぐ魔除けですが、シーサーは災いがないようにと、その地域を守る魔除けです。
ルーツは古代エジプトのスフィンクスと言われています。シーサーに関することも諸説あって断言ができないのですが、古代オリエントでは王の威厳のためにライオンの像がおかれていて、それが獅子文化として世界に広まり、沖縄へは中国から伝わりました。日本へは狛犬として伝わっています。
ちなみに狛犬は狛犬であって、犬じゃないそうです。中国から沖縄に伝わった時は王族にだけ、シーサーの設置が許されていました。
村獅子(むらじし)の始まりは1689年のことで、当時火事が多くて困っていた村の人々が風水師に助言を求めると「八重瀬岳がフィーザン(火山)なので、山に向けて獅子の像を置くようにと言いました。助言の通りにすると火事が発生しなくなりました。
この村獅子がルーツになって、家の屋根や門柱の上に置かれるようになりました。
首里城などにあるシーサーと庶民の家の屋根や門柱に置かれているシーサーはルーツが別と言えそうです。
シーサーは1体のものと、1対になったものがありますが、もとは1体のみだったそうです。なぜ対になったのかも諸説あり、オスメスもあるとも、ないとも言えるそうです。
街中にもいろんなシーサーがあり、見ていると楽しいです。
門柱の上のシーサーは怖い顔をしているのが多く、村獅子は、どこか、あどけない顔をしています。
こちらはお店の前にいた石のシーサーです。村獅子ではないですね。
最近はお店の宣伝を兼ねた面白いシーサーも増えました。おそば持っていたり、お酒持っていたり。
ラーメン店の前にいたシーサー。
お土産屋さんの前にいたシーサー。
シーサー探しをして歩くのも楽しいですよ。
シャコガイ・スイジガイ・クモガイ
沖縄では家の前やお店の前に貝殻が置いてあります。「シャコガイ」や「スイジガイ」「クモガイ」が有名です。
「シャコ貝」は呪力(じゅりょく)があるとされていて、沖縄本島の東部、特に、うるま市の伊計島(いけいじま)や津堅島(つけんじま)によく見られます。
「スイジガイ」は水の字を連想させるので、古くから火難除けや魔除けとして利用されていました。
飲食店の入り口にありました。この貝はスイジガイではなさそうなので、クモガイでしょうか。
後に街歩きをしていて、見つけました。↓こちらがスイジガイと思われます。
確かに「水」の字に見えますね。
サン/サングヮー
「サン/サングヮー」は、弁当や法事で使われる重箱の上に置いてマジムンが食べ物を腐らせてしまうことから守るとされています。
本来はススキなどの草で作りますが、素材よりもカタチに意味があるようで、サンをモチーフにしたお守りやキーホルダーなども販売されています。
写真は「王朝食パン識名園」がプレオープンした時の記念に頂いたものです。パンにサングヮーのお守りって良いですね。
まとめ
沖縄の魔除け、石敢當、シーサー、貝、サンを紹介しましたが、沖縄の魔除けはまだまだあるそうです。
いにしえの沖縄の人々は今よりもずっと過酷な生活を強いられていたと考えられます。エアコンも冷蔵庫もなく、天気予報も精度が高くはなかったでしょうからね。
沖縄の人々は見えない力を信じて、自然と戦うのではなく、折り合いをつけて共存しようとしていたのではないかと、私は考えています。
先人達が大事にしてきたものを現代の人々も受け継いでいる文化が、日常的に街中にあるのは素晴らしいです。是非、いろんな魔除けを見つけてくださいね。