沖縄を紹介するガイドブックや雑誌で必ずと言っていいほど取り上げられている、斎場御嶽(せいふぁうたき)。私は気にはなっていましたが、行ったことがありませんでした。
パワースポットして人気ですが、なんとなく、いい加減な気持ちで訪れてはいけない気がしていたからです。ようやく、その時が来たと感じられたので訪れることにしました。
※21年1月のブログに加筆して公開しています。
斎場御嶽(せいふぁうたき)の基礎知識
最近はパワースポットがブームとなっていますが、パワースポットとは「願いを聞いてくれるところ」や幸運になれるところではありません。お詣りしたからOKと言うものではないんです。どんな宗教であれ、神様は取り引きや契約をしませんから、参拝を理由に願いをかなえることはないでしょう。
昔の琉球の人々の信仰の対象は太陽でした。
首里城からは久高島から太陽が昇ってくるのが見えます。そのために、久高島は島全体がパワースポットであり、神の島と呼ばれているのです。
斎場御嶽(せいふぁうたき)は首里城と久高島を結んだ間にあり、琉球王国最高の聖地です。琉球国王が参拝し、ノロ(神女)の最高位である聞得大君(きこえおおきみ)の就任式も行われていた地です。
以前、沖縄の祈りは「感謝と報告である」と伺って、私はストンと納得しました。
昔の人々は今よりもずっと過酷な自然環境で生活をしていたと考えられます。ですから、自然と対峙するのではなく、自然の恵みに”感謝”し、”見守ってください”という気持ちで共存することを考えていたのだと考えています。なので、私はお願いするのは違うのでは?と思っています。
まずは南城市地域物産館へ!
まずは南城市地域物産館へ行きましょう。入場チケットはここだけの販売となっているからです。
看板に書いてある通り、今は三庫理(サングーイ)の中には入れませんので、ご注意ください。
南城市地域物産館の隣のがんじゅー駅では、斎場御嶽のビデオや展示のパネルを見ることが出来ますので、合わせて見ることをオススメします。
南城市地域物産館に車を停めてから、参道を歩いて、斎場御嶽へ向かいます。
斎場御嶽は祈りの地
斎場御嶽は思ったより、ずっと深い森のような場所でした。沖縄では空間そのものを聖地と考えているところが多いように思います。あたりには独特な雰囲気が漂っています。
斎場御嶽を訪れる場合は、次のことに注意するようにとパンフレットに書いてありました。
- 敬う心構えで
- 祈りをさえぎらないで
- 聖地にあるものを持ち出さない
- 香炉には手を触れない
- 履きなれたくつで
パンフレットにあったものをそのまま書きましたが、一言で言うと「物見遊山で訪れる場所ではない」と言うことでしょう。物見遊山であれば、現地のものを持ち出したり、勝手に手を触れたり、露出の多い服装でも、グループでわいわいするのもOKですが、物見遊山ではないので、これらはふさわしくないでしょう。
出来ればこちらでガイドツアーに申し込むことをオススメします。私は時間の関係で申し込めませんでした。
写真をバシャバシャ撮るのも本来の姿ではないと思われますので、記録程度に少しだけ撮らせていただきました。
御門口(ウジョウグチ)
琉球国王が斎場御嶽を参拝する時は、たくさんのお供が同行していたのですが、ごく一部の人しかこの先に進めませんでした。
入れない人は、ここから久高島に向かってお祈りしました。久高島は神の島と呼ばれていて、島全体がパワースポットです。
昔の斎場御嶽は男子禁制の地だったので、国王でさえも衣服を改めたと言われているので、心穏やかに訪れたいですね。
寄満(ユインチ)
首里城の中にも同じ名前の部屋があり、「台所」を意味しますが、ここで食事を作っていたわけではないそうです。当時の琉球は貿易が盛んで、世界中の交易品が集まる「豊穣の満ち満ちたところ」と解釈されているそうです。
那覇空港にあるユインチストリートもこれが由来でしょうか。
シキヨダユルアマガヌビー アマダユルアシカヌビーの壺
私が思っていたよりも、斎場御嶽はもっと深い森だったのですが、急に開けたここの空間に入るところ、空気がガラッと変わりました。
ここの2本の鍾乳石から滴り落ちる「聖なる水」を下に設置されている壺が受けています。この水は儀式にも使われる、とても大切な水です。
ガンガラーの谷に行った時に「鍾乳石は外気にさらされるところには出来ない」と聞いたので、もしかすると、昔はここが洞窟のようなドーム状だったのかもしれないと、勝手に推測しました。
三庫理(サングーイ)
大きな岩が三角形の空間を作り出しています。今はこの先には入れませんが、中には拝所があり、そして久高島を望むことが出来るそうです。
いつかまた、三庫理の中にも入ってみたいとは思いましたが、ここまででも十分に神秘的な場所であると感じられます。
ウローカー
今は通ることが出来ませんが、琉球王朝時代の人々が通った道で、かなり勾配が急です。
カーとは湧き水のことで、国王が禊をしたの言い伝えがあります。
琉球王朝時代には斎場御嶽で儀式を終えてから、その日のうちに首里城まで戻らなくてはならないこともあったそうです。
そのために道路が整備されたり、移動の方法に工夫を凝らすことがあったかもしれません。琉球王朝はそんな感じで発展したのかもしれないなぁと、私の勝手な妄想が広がりました。
沖縄には拝所がたくさんあり、斎場御嶽はその最高峰となります。祈りの場所とは、祈りたくなるような場所ではないかと感じました。誰かに言われたからではなく、素直に自然の恵みに感謝する気持ちになるところを指すのではと感じました。
宗教のカタチになっていなくても、今でも沖縄の人々から斎場御嶽が大切にされているのは、自然に溢れ出てくる感情に起因しているからなのではないでしょうか。
斎場御嶽は、観光気分で訪れるのではなく、心穏やかに訪れることをオススメします。
斎場御嶽へのアクセス
車の場合:南風原南インターを降りたら、国道331号線に合流して、道なりに進むと斎場御嶽です。
那覇空港・那覇市内からは40~50分ほどです。
路線バス:那覇市内の各地から直通のバス路線も運行しています。また南城市役所からNバスも利用できます。
■住所:沖縄県南城市知念字久手堅539
■TEL:098-948-4660
■営業時間
【3月~10月】9:00~18:00(最終入館:17:30)
【11月~2月】9:00~17:50(最終入館:17:00)
■入場チケット販売時間
【3月~10月】9:00~17:15まで
【11月~2月】9:00~16:45まで
■入場料金
大人(高校生以上):300円
小人(小・中学生):150円
団体:200円(※20名以上)
斎場御嶽も世界遺産ですので、首里城と合わせて訪れることをオススメします。